【突然の請求電話で気づいた親の異変】認知症のはじまりと家族の対応

電話がかかってきたときの状況

私たちは三人暮らし。2階にある自室でいつものように過ごしていたある日、家の固定電話がまた鳴り始めました。実はここ数週間、いや数か月ほど前から、電話が鳴っても両親が出ないことが増えていました。これまではどちらかが必ず応対していたのに、最近は電話が何度鳴っても取られないことが頻繁にありました。
その日も、何度も鳴り続ける電話に違和感を覚え、さすがにうるさく感じて階下に降り、受話器を取りました。相手は生命保険会社の担当者で、母名義の保険料が長い間支払われていないとのこと。聞いた瞬間、耳を疑いました。お金の管理は母がしていたし、そんなミスをするとは思っていなかったからです。
すぐに母に確認すると、「知らない」の一点張り。問い詰めても話をはぐらかすばかりで、明らかに様子がおかしい。父も驚くでもなく、まるで他人事のような表情でした。

親の様子と初めての違和感

このとき、私ははじめて強い違和感を覚えました。これまでの母の態度と明らかに違っていたのです。これまで特に深い会話をすることもなかった私たち親子。今回も「何かおかしいけど、たまたまかもしれない」と自分に言い聞かせようとしました。
しかし、不安が拭えず母の部屋を調べてみると、引き出しやソファの隙間から督促状がいくつも出てきました。明らかに隠そうとしている様子。それでも母は「払ってる」「知らない」と言い続けます。そのときの母の表情は、これまで見たことのないようなものだったのを、今でも覚えています。

認知症の兆候だったと気づくまで

「もしかして、認知症…?」
この疑念が頭をよぎったのは、それからしばらく経った後のことでした。ネットで“認知症 初期症状”や“親 認知症 気づいたきっかけ”などのキーワードで調べてみると、母の言動に当てはまる事例が次々と出てきました。
記憶の混乱、ごまかし、金銭管理の困難。そして、「家族が長年一緒に暮らしていても、コミュニケーションが少ないと気づかないケースが多い」というような記述。
まさに、自分がその典型でした。ずっと一緒にいたはずなのに、まったく気づけなかった。気づこうともしてこなかった。母の変化を、私はずっと見過ごしていたのです。

家族として取った対応

しかし、その時の私は無知で、どう行動すべきかまったくわかりませんでした。認知症についての知識も、「一度なったらもうどうしようもない」という曖昧な思い込みしかなく、医療や支援の選択肢があることすら知りませんでした。
父も同様で、むしろ私以上に何もせず、ただ黙って私に委ねるような態度。話し合いを持つこともなく、自然と「自分がなんとかしなければ」と思い込むようになっていきました。
私が最初にしたことといえば、ネットで「保険 未払い 対応」「親 認知症 対応 方法」と検索することくらい。それも断片的な知識にとどまり、具体的な行動にはなかなかつながりませんでした。今振り返れば、この時期の私は、家族にも介護にも無関心で、自分のことしか考えていなかったのだと思います。

今後の備えと心構え

この出来事を通して、自分の無知と未熟さに直面しました。そして徐々に、「このままではいけない」と感じ始めます。認知症に関する本を読み始める、支援センターの存在を知ったのも、そのずっと後のことでした。最初の一歩を踏み出すのに、私はとても時間がかかってしまいました。
それでも、あの電話がなかったら、気づけなかったかもしれません。異変に気づいたときの行動が、家族の未来を変えることもあります。もし、この記事を読んでいるあなたが「もしかして」と思う瞬間があれば、その違和感を大切にしてほしいです。
私のように、はじめは無知でも、関心が薄くても、一歩踏み出せば道は開けていきます。

この記事が、介護初心者の方にとってのヒントになれば幸いです。

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